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第32章:ダイアリー

アンジェラは一人、身を切るような夜の寒さにも気づかず、ブランコに座っていた。彼女の意識は、眼下にきらめく街の灯りを眺めながらも、もっとずっと差し迫った何かに囚われていた。脳裏を駆け巡るのは、洗い流してしまいたいと願う辛い記憶の断片――特に、あのレストランでの出来事だった。

レオナルドとララの舌戦は、アンジェラの忠誠心をめぐる静かな戦いとなっていた。ララに対するレオナルドの辛辣な言葉、そしてアンジェラに向けられるララの容赦ない皮肉が、耐えがたい緊張感を生み出していた。しかし、その夜レオナルドが放った言葉の中で最も心に重くのしかかっていたのは、「エスメラルダを殺した犯人を見つけろ」という一言だった...