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217話

「劉欣冉の繊細な赤い指が老徐を止めようとしたが、老徐の大きな口はすでに、先ほど劉欣冉の唇が触れていた場所に食らいついていた」

劉欣冉は泣きそうになった。こうなると、自分は老徐と間接的にもう一度キスしたことになるじゃないか?

「すまん、忘れてた」老徐は見苦しく口元を拭うと、ソファに背を預け、この上なく満足げな表情を浮かべた。

「わたしの初キス、返して」赵友德と步尧廉が去った今、劉欣冉はポケットからナプキンを取り出し、小さな唇を何度も拭いた。

この唇を、劉欣冉は二十数年間大切に守ってきたのに、今日こうしてあっけなく老徐に奪われてしまった。

本当の意味でのキスではなかったとはいえ、劉欣冉の心...