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43話

「もしもし?」私は小声で言う。心臓は激しく鼓動し、手は震え始めた。声は聞こえないのに、彼だと感じる。

「久しぶりだね、ミズキ」ジョンの声に私は驚く。彼だ。私を混乱させ、自分自身の中で迷子にさせた人。

くそっ!

私は返事をしない。どうすればいいのか、どう反応すればいいのか分からない。何ヶ月も話していなかったのに、彼が私の名前を言う時の低い声に、体が同じように反応してしまうなんて、何も変わっていないみたい。

「電話越しでも話したくないの、ハナ?一言の説明もくれないなんて、不公平じゃないか」彼は問いかけ、短い言葉の中にも傷ついた様子が感じられる。

「あなたの望むものは与えられないわ、ジョン...