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#116: フォールン:炎と贖い-羊を集めよう

ヴァイオレット

ジュリアンに対する自分の態度が、どうにもしっくりこなかった。彼は私を幸せにしようと、あれこれ必死に頑張ってくれているのが行動から見て取れたのに、私は失礼な態度で返すことしか知らなかった。

チュロスだって、本当は三十本は食べられるくらいめちゃくちゃ美味しかったのに、文句を言ってしまった。炭水化物と揚げ物には目がない、特に甘いものには。しょっぱいものより手間がかかる気がして、そんなに頻繁には作らなかったけれど。

それは全てのシェフが直面する戦い、誰も立ち向かいたがらない戦争――パティスリーだ。

でも、そんなことを考えていたのは、観覧車を降りたときに舌の奥に残る苦い後...