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#115: フォールン:ファイアーアンドリデンプション-観覧車

ジュリアン・カウアー

とにかく彼女にあのクソ忌々しいコンロを消してほしかったんだ。

マジで。もしヴァイオレットが、あと一時間でも、しゃれたフランス語の名前がついた、なんとかの泡だかなんだか知らんが、そんなレシピの試作を続けていたら、俺は彼女のノートを全部窓から放り投げて、力ずくで家から引きずり出してやるところだった。

「出かけないと」俺はカウンターに寄りかかりながら言った。

「どこへ? 今日はお祭りでもあるの?」

「いや。遊園地だ」

ヴァイオレットは、まるで俺たちがエホバの証人にでもなる、とでも言われたかのように顔を上げた。

「冗談でしょ」

「これ以上ないくらい本気だ」

「ジ...