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29話

ペネロピー

バルコニーに出ると、暖かな太陽の光が肌を包み込む。手には大きめのチョコレートケーキが乗った皿を持っている。病院から退院してから一週間が経った。体は回復しつつあるのに、心はまだ閉じ込められたように落ち着かない。

安静にしなさい。

その言葉を聞くだけで叫びたくなる。赤ちゃんのためには最善だとわかっているけど、強制的な不活動は私を狂わせる。まるで檻の中の動物のよう。寝室の限られた空間をうろつきながら、自分抜きで過ぎ去っていく世界を眺めている。

これが現実なのね。つかの間の自由を盗むような形で。

ふかふかのラウンジチェアに腰を下ろし、丸くなったお腹の上に皿を乗せる...