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エピローグ相続人と異端者

❖ 十八年後 ❖

エリオ

俺は自宅のフロントテラスにある石柱に寄りかかり、この五分で三度目になる腕時計の確認をする。四時半。連中は遅刻だ。

『いつものことだ。』

ジャクソンはいつも時間に正確すぎるくらい正確だ――親父に言わせりゃ、敬意だのパワーバランスだの、アルファ特有の妙なこだわりなんだと。だから、もし連中が遅れているとしたら、たぶん、あいつの大事な娘っ子が俺に会うってんで、何かしらパニックでも起こしてるんだろう。

まあ、彼女を責める気にはなれないがな。

俺は髪に手ぐしを通し、完璧なスタイリングが崩れていないか確かめ、シャツを整える。黒のボタンダウン、この夏につけた筋肉をちょうど見せび...