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126 残された王冠

静まり返ったセーフハウスは、もう三日も経つ。

私はエリオを胸に抱き、彼の穏やかな寝息を聞きながら、マラカイの仮設書斎の前に立っていた。私たちの仮住まいに漂う悲しみを、エリオは幸いにも知らずに眠っている。半開きのドアから、マラカイが机に向かって身をかがめているのが見える。昨日ルークが運び込んだ箱に囲まれて。

イライジャの遺品だ。

彼が箱の一つから何かを取り出すのを見て、胸が締め付けられる。それは写真だった。長年触れられてきたせいで、縁が擦り切れている。ここからでも、それが古い、大切に仕舞われてきた家族写真だとわかる。マラカイは、見ているこちらの喉が詰まるほど痛ましい表情で、それを見つめてい...