「こんなの間違ってるわよね？」
きっとそう。でも今は、どうでもいい。

両足を開く。黒狼が脚の間に顔を埋める。深く息を吸い込み、私の香り―興奮を嗅ぎ、低い唸り声を漏らす。鋭い牙が軽く肌に触れ、その刺激に私は声を上げる。

誰が今この瞬間、理性を失うことを責められるだろう？こんな欲望を抱くことを？

息を止める。

私たちの間を隔てているのは、薄い下着の布地だけ。

舌が這う。思わず声が漏れる。

もう止まるのかと身構えたけど―舌が何度も何度も、どんどん速く這う。貪るように。

突然、信じられない速さと正確さで下着を引き裂く。肌を傷つけることなく。布が裂ける音だけが聞こえて、見下ろすと、もう再び舐めていた。

狼に対してこんな気持ちを抱くなんて。私、どうかしてる。

ふと、優しい舐め方に変わって、黒狼を見ると―もう狼じゃない。アルファのケイデンだった！

人の姿に変わって、私を舐めている。

🐺 🐺 🐺

満月の夜に殺戮を愉しむ残虐な行為で恐れられる狼人、アルファのケイデン。彼の運命の番は、ガンマが選んだ普通の人間の女性だった。

絆を拒もうとするケイデンだが、運命は別の計画を用意していた。次期アルファ王を決める大会に参加できるのは、番を持つアルファだけ。そこで彼は大胆な偽装の契約を持ちかける。

最初は躊躇うキャサリンだったが、彼女の小さなパックを守るという貴重な約束に、心が揺らぐ。

しかしケイデンは知らなかった。キャサリンの中に、想像を超える隠された力が眠っていることを。

大会が進むにつれ、ケイデンは彼女を大会だけでなく、自分のベッドにも求めずにはいられなくなっていく。


元カレのアルファに恋して

太陽が頭上で燃え盛り、灼熱の光線を大地に投げかける中、私は心の痛みから気を紛らわすために過酷なトレーニングに挑んでいた。午後の蒸し暑さは、私を消費しそうな渇望を鎮めようとする必死の試みである肉体的な鍛錬の追求にふさわしい背景となっていた。
私の心の中で、ある思いが響き渡り、その考えを遮ることができない。
番い。番い。番い。
獣の姿になった私、トロイは、大地の色彩が織りなす毛皮を纏い、目の前に広がる開けた空間を征服しようと出発した。
一歩一歩が原始的なエネルギーを帯び、筋肉が体の下で波打ち、足が地面を律動的に打ち付けた。
私は下生えの中を跳ね回りながら、自分の限界に挑むことに集中した。力強...

57話