6話
（アレクサンダー視点）
レムリアはシェラン湖近くの五つ星ホテル＆リゾートにある高級レストランだ。私のホテル＆リゾートだ。
私はオリバーと早めにレムリアに到着し、彼に事前に予約させておいた個室へ案内された。私は自分のメイトのために特別な時間を用意したかった。待つのは構わないが、すでに彼女が恋しくなっていて、女神に彼女が早く来てくれるよう祈っていた。私のオオカミ、エコーは、メイトの到着を期待して耳を立てていた。
彼女の家で家族写真を見ていた時、私は彼女の首にかかっているロケットに気づいた。あの有名な巫女アデラのロケットだ。彼女はメイトのアルファ・デイビス・ブラント（クレセント・ムーン・パック所属）と共に、パックのほとんどのメンバーと一緒に殺害された。多くのオオカミたちは娘も死んだと信じていたが、「虐殺から逃れて」隠れているという噂もあった。ホープがその娘なのか？逃げ延びた娘なのか？彼女はアデラに似ている。もしそうでなければ、どうやってあのロケットを手に入れたのだろう？
巫女とアルファの子である「運命の者」がローグ・ロードを殺すと予言されていた。すべてのオオカミたちはこれがアデラとデイビスの娘だと信じていた。ローグ・ロード自身もそう信じていたからこそ、間違いなければ18年前に起こったクレセント・ムーンへの襲撃があったのだ。すべての詳細が一致する。
胸に引っ張られるような感覚があった。もし彼女がいわゆる「運命の者」であるなら、彼女は自分の肩に背負う重荷を知らないのだ。
私は微笑み、女神に感謝した。こんなに思いやりのある両親と幸せな人生を彼女に与えてくれたことに。アラリー家はこの町で愛されていた。彼らはいつも困っている人を助けようとしていた。明らかに、家族を必要としていた子オオカミさえも。
オリバーが咳払いし、アラリー家の到着を知らせるジェスチャーをした。私は彼に精神リンクでローグに対して警戒するよう戦士たちに伝えるよう指示した。もしホープが本当に「運命の者」なら、ローグ・ロードも遠くないかもしれない。
私は立ち上がり、彼らが入ってくるレストランの入口へ歩いていった。彼らを歓迎し、私たちの個室へ案内した。ホープは見事だった。彼女が他のテーブルを通り過ぎると、男性たちの頭が彼女を見るために回り、女性たちもそうだった。女性たちは嫉妬と羨望の眼差しで彼女を見つめ、男性たちは…私には男性たちが何を考えているか分かっていたし、彼らの頭を引きちぎってやりたかった。ホープは振り向く頭に気づきもせず歩いていた。彼女は私を見ていた。私は微笑んだ。彼女の目には私しかいない。エコーはもどかしさに唸った。「落ち着けエコー。まず両親を安心させなければならない。彼らはオオカミではなく、私たちの『やり方』を理解していない」エコーは明らかに焦れて鳴いた。
「ウルリッヒさん、これは過分です。普通の人たちと外で食事できますよ」と、個室に入るとジムが言った。
「何も心配することはありませんよ、ジム。この部屋はプライバシーを確保してくれます。そしてアレックスと呼んでください。堅苦しくする必要はありません」と私は彼と握手しながら言った。彼を席に着かせた後、私は彼の妻に向き直った。
「アラリー夫人、あなたは本当に素晴らしい」彼女が椅子に座るのを手伝うと、彼女はくすくす笑った。
「あなた、ミラソルと呼んでください」と彼女は言った。
「ミラソル。フィリピン人ですね？」
「はい。どうして分かったのですか？」
「フィリピンには何度か行ったことがあります。とても親しみやすい国ですね。訪問中に、ミラソルという女性に会いました。あなたは彼女を思い出させます。いつも笑顔で」私はウィンクした。
「そしてホープ、あなたはここ、私の隣に座ってください」私は彼女の手にキスをし、彼女の目が大きく見開いた。彼女は絶対的に美しかった。私が今まで見た中で最も美しい女性だ。もし彼女が美人コンテストに出場したら、間違いなく優勝するだろう。
彼女の長い黒髪は動くたびに流れていた。シンプルなボディコンの黒いドレスは彼女の長い脚を見せ、彼女の曲線のすべてを包み込んでいた。ドレスの黒さが彼女の肌を輝かせていた。彼女の金色の瞳は光とともに踊り、鼻筋のそばかすは輝いているようだった。胸元には、彼女の白い肌に輝くロケットが掛かっていた。
彼女は優しく微笑んで「ありがとう、アレクサンダー！」と、私が椅子を引いてあげた後に言った。
全員が快適に座ると、ウェイターが飲み物を運び、メインコースに入る前に前菜、サラダ、スープを出してくれた。
「それで、ホープ、とても素敵なロケットですね。どこから来たのか物語はありますか？」私は何気なく尋ねた。私を悩ませている質問への答えが得られることを期待して。
ジムとミラソルは二人とも咳をして目をそらした。神経を逆なでしたようだ。私は自分の厚かましさを詫びた。特定のことについて話すべきではないこともあるとは知らなかった。
「いいのよ、大丈夫」ミラソルはため息をついた。「誰にも隠しているわけではないの」ミラソルは話し始めた。「でも、ホープは私の実の娘ではないの。そうであればよかったけど、今のままでも何ひとつ変えたくない。彼女は私の実の子ではなくても、私の娘なの」ミラソルの目に涙が浮かぶのが見えた。つまり、ホープは養子なのだ。申し訳なく思った。聞くべきではなかった。
「お母さん、私知ってるよ。愛してる」ホープは母親の手を取り、軽くたたいた。「私も今のままでいいの。このロケットは、私をお父さんとお母さんに預けた人から残された唯一のものなの。もし誰かがこれを認識してくれたら、少なくとも自分がどこから来たのか知ることができるかもしれない。自分が本当は誰なのか、もっと理解できるかも。でも結局は、お母さんとお父さんを選ぶわ。二人とも大好き。二人なしの人生なんて想像できない」ホープは俯いた。頬に涙が落ちるのが見えた。私は彼女の背中をさすって慰めた。素晴らしい、雰囲気を台無しにしてしまった。エコーは私たちのメイトを泣かせたことで私に向かって唸った。
「お前はなんてバカなんだ」とエコーが言った。「メイトを泣かせるなんて」「ありがとう、エコー。今、本当に、本当に悪いと思ってるよ」と私は彼に言った。エコーは私を嘲笑した。「そうあるべきだ」
「私たちはホープが両親を探すことを許可しています。自分が誰なのか知らないのは良くないですから」ジムはシェリー酒を飲みながら言った。
「皆さんに少し情報があるかもしれません」私は三人に言った。彼らの目は驚きで大きく見開かれた。「でも、まず食事をしましょう」私は執事にメインコースを出すよう合図した。「皆さんステーキはお好きですか？」周りから「あぁぁぁ」という声が聞こえ、彼らの顔に大きな笑顔が浮かんでいるのが見えた。