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第107話

小さなテーブルで向かい合って座りながら、ゾーラは周囲の街の景色、音、匂いに心を奪われていて、イカロが彼女から目を離せないでいることに気づいていなかった。だからこそ、彼が手を伸ばして彼女の下唇についたパイ生地のかけらを拭おうとした時、彼女は飛び上がり、彼は声を出して笑った。

「そんなに私のことを怖がっているの？」

「いいえ。ただここがとても美しくて、魅了されているだけよ。これらの建物の一部は何百年も前のもののように見えるのに、あそこでは小さな子供たちが遊んでいる。まるで別の時代のものを見ているような気分になるわ」

彼は微笑んだ。「その通りかもしれないね。ここは信じられないほど古い街だ。パイ...