マフィアの獣の赤面する花嫁

ゾーラ・エスポジートは、厳格な叔父である司祭の指導のもと、信仰に捧げた人生を送ってきた。その叔父の見下すような態度に息もつけないほど苦しめられていたゾーラは、ある日突然、結婚が決められていたと告げられ、愕然とする。
さらに婚約者が、モラルのかけらもない遊び人のマフィアと知り、彼女は身動きが取れなくなったような絶望感と裏切られた思いに苛まれ、信仰心さえも揺らぎ始める。
邪な誘惑に決して背を向けないイカロ・ルッケージは、新しい花嫁を赤面させることに至上の喜びを見出していた。この男が思い描く淫らな妄想は、すべて一度は実行に移してきたが、今度は彼女とすべてを体験したいと望んでいた。
一方のゾーラには、新しい夫への驚きの仕返しがあった。知りもしない、まして愛してもいない男に、大切に守ってきた純潔を捧げるつもりなどなかった。彼が彼女を手に入れたいなら、それなりの努力が必要だ。これまでの人生の大半を祈りを捧げて膝をつく日々を過ごしてきたが、今度はイカロに跪いて懇願させるつもりだった。
ゾーラは犯罪と暴力と性が渦巻く、時にはそれらが同時に起こる新しい世界に巻き込まれていく。イカロは生まれた時から善人であったためしはないが、彼の頬を染める花嫁のために、必死に善人になろうと努めていた。
ゾーラはイカロ・ルッケージという男の全てを受け入れ、愛することができるのだろうか。それとも彼の闇の部分に耐えきれず、まるで悪魔に追われるかのように逃げ出すことになるのだろうか。