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第80話

ドミニク

コーダと俺は裏山を忍び歩く。ヴィラージュ・デュ・ルー・ルージュの敷地を囲む巨大な壁の周りを慎重に移動する。複合施設の正面付近に武装した警備員が二人いるのを見つけた。若いオオカミたちだ。どちらも見覚えがない。俺たちのパックは本当に、何年も前に言われたように分裂したのだろうか?それともどこかクラウン山のこの辺りに移動して、別のパックと合流したのか?

森の縁に沿って移動しながら、匂いを嗅がれない場所を選び、壁の向こうに見える屋根の数を数える。そうしながら、俺のメイトのなじみ深い香りを探し続ける。ようやく約3キロ先からその匂いを感じ取った。俺はその場で人間の姿に戻り、近くの木に登...