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第四章百十八

アデル

「本当?」と、私は信じられないというように聞き返す。「だって、私が読んだ狼男に関する本はどれも違うことを言っていたもの。もちろんフィクションだけど、フィクションの大部分が事実に基づいているのは周知の事実でしょ。それに、今やシフターが実在するってわかったんだから、私は――」

「アデル!?」と彼が唸る。半分、目が飛び出さんばかりに私を睨み下ろしながら。

「は、はい?」と私はおどおどと答える。唇を噛むと、彼の視線がまたそこへ引き寄せられた。

「俺はクソ狼男でも、魔法使いでも、プードルでもねえんだよ。俺はライオンだ。それに、ライオンのシフターは犬みたいに三十センチもある鼻面なんか持っちゃ...