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第四章百十二

グリフィン

午前中の残りは静寂に包まれて過ぎていった。アデルは、カフェでのあの聖書の一場面のような出来事以来、一言も口を開かない。家路を急ぐ俺の顔は、きっと真っ赤になっているはずだ。今朝、トラック野郎天国の不潔な便座でマスターベーションしている俺の醜悪な姿を彼女に目撃されてしまってから、まともに彼女の顔を見ることができないでいる。自分が本物のクソッタレな負け犬みたいに感じ始めていた。

昼食と給油のためにアイダホ州で一度停車し、今度は野外で用を足した。もしまたトイレに姿を消そうものなら、俺のかわいいアデルに変に詮索されたくなかったからだ。それから再び車上の人となり、ワシントン州へと向...