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第四百八章

「アデル」

「出なくていいわ」私はためらうことなく言った。兄がしでかしたことの数々を思うと、怒りがこみ上げてくる。まだ爆発寸前というわけじゃないから、電話の向こうのバカに挑発されて事を荒立てる必要はない。きっと、私がロッジを出た後、タイラーにうまいこと言いくるめられて、彼のために電話してきたに違いない。

タイラーがそんな真似をするなんて、ほとんど信じられない。きっと、私が兄には何も言わないだろうと高をくくっているのだ。私が恥ずかしくて、何があったかなんて兄に打ち明けられないだろうと思っているに違いない。

その通りだった。

『ちくしょうめ。』

あるいは、自分の保身のためにカイルに電話して、何が...