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第四百六章

アデル

震えが私を襲い、血が首筋へと激しく逆流してくるのを感じると、なぜか頬までズキズキと痛みだした。

『うそ。あり得ないわ』

『ということは、今までずっと……』

『今まで、ずううううううっとだって言うの!?!?』

嗚咽が唇から漏れそうになり、私はそれを必死に噛み殺した。腹の底が焼け付くように熱く、溶けてしまいそうだった。悲しみと憤り、そして五年分のあらゆる哀しみと苦痛が、ぐちゃぐちゃに混ざり合っていく。

刺青はすっかり癒えていた。それがいつからそこにあったのか、正直なところ何の証拠もない。けれど、そんなこと、もうどうだっていい。そこにあるのだから。

『そこにあるんだわ!』

兄...