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第三百九十八章

グリフィン

彼女が震えているのがわかる。だが、俺を突き放そうとはしない。それに感謝した。彼女の体の熱が毛布越しに伝わってきて、彼女の胴体に押し付けられた俺の顔と後頭部を温める。

『なんてこった、こいつは柔らかい』

右腕を彼女の尻に半分回し、そばに引き寄せたまま、この憂鬱なディズニー映画を観ている。ったく、とんだドラマだぜ。子供たちは本当にこんなものを見るのか? 見るんだろうな。だが、俺には無理だ。今、鼻の下に漂うバニラハニーの甘い香りのことしか考えられないのだから。

アデルの心臓の鼓動を、彼女の血流の一定の脈動を通してずっと聞いていた。俺の聴覚はウルフ・シフターほど鋭敏ではないが、人間よりは...