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第三百九十三章

アデル

彼に受け止められた瞬間、私ははっと目を開けた。心臓がまた胸の中で激しく鼓動している。

また失神したのだ。

また、危ないところだった。

ただそれだけのこと。でも、今回はそんな風には感じられなかった。

今回は、もう目覚めないと思っていた。

今回は……もうだめだ、と確信していた。だって、文字通り心臓が鼓動を止めるのを感じたから。そんなことは、今まで一度もなかった。少なくとも、意識がある間は。

これまでのどの時とも違って、今回はまったく前触れがなかったのだから。いつもなら、予兆のような胸のざわめきがあったり、胸の真ん中に急に強い圧迫感があったりしたのに、今回は違っ...