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第三百八十四章

アデル

最初にその長身の、謎めいた見知らぬ男が店に入ってきたとき、ぼんやりと気づいてはいた。まったく才能《ギフト》を持たない若い娘がよりにもよって降霊会を計画しているという、最後の邪魔者を追い払ったばかりだったので、私は内心、この新参者も追い返してしまおうかと考えていた。

でも……彼には何かがあった。何か、私が言葉を飲み込んでしまうようなものが。

彼が完璧な体つきをしていることに気づいたとき、心拍数が跳ね上がった。見事に鍛え上げられ、筋肉が隆々としている。革のライディングウェア越しにも、その力が漲っているのが見て取れた。歩くたびに太腿の強靭な筋肉の束が動き、棚の何かに手を伸ばすた...