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第三百二十八章

「アナスタシア」

彼らの到来を感じたのは、蛍が消える数秒前だった。肌がぞくぞくとし、思わず振り返らずにはいられなかった。

「しまった」

「影だ。感じる」

「奴らがここにいる」

「ポール...」私はささやき、背中を彼の胸に押し付けた。恐怖が背骨を這い上がり、排水口を上る蜘蛛のように首の後ろをぎゅっと締め付ける。

魔力が胸の中で渦巻き、一呼吸ごとに力を送り込んでくる。何かが私の中で構築されている。中心部に引っ張られるような感覚。それは抑え込まれたエネルギーのようにパチパチと音を立て、どこか一箇所でも導線が擦り切れれば、先端で発火して作動しそうな電気を帯びたコンセントのようだ。

「おばあちゃ...