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第297話

アナスタシア

フォーントロイという町を出発し、ポールの隣に座りながら、ようやく緊張が解けていくのを感じる。2年ぶりに、本当に自由を感じている。ドラコの姿はどこにもない。ただ前方には延々と続く道と木々、そして私たちの背後には何もない空間だけ。猟犬の気配はまったく感じない。もっとも、ポールを見つけた今となっては、感じるかどうかも分からないけど。

「彼が私と絆を結べば、もう猟犬を恐れる必要はなくなる」

「もし...彼が私との絆を選んでくれるなら...」

ポールと私はピュージェット湾をフェリーで渡った。猟犬から逃げていた時には、こんな選択肢があるとは思いもしなかった。もし知っていたら、学校で地...