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第276話

彼女は間違っている。私はそれを憎んでいるわけじゃない。でもそれが問題なんだ。

憎むべきなのに。そうだろう?

彼女は魔女だ。呪術師だ。私にはまったく馴染みのない力を持っていて、それが俺の頭をかき乱す。

彼女は十分に美しくて自然と惹かれるから、彼女への欲望が本能的なものだとわかっている。実際のものだ。

それが問題じゃない。

問題なのは他のことだ。紫の霧、光る瞳、なぜ彼女の足首を撫でながら心臓が激しく鼓動しているのかわからないこと。

もし彼女が俺に魔法をかけているなら、それは理解できる。もし彼女が俺に何らかの魅力の呪文をかけたなら、納得がいく。そしてそれに腹が立つ。

眉をひそめながら、彼女の脈打つ心...