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第228話

「杖?どういう意味だよ、『杖』って――ゲイル?」デリラは慌てて叫ぶ。彼女の目はルームミラー越しに私の目と釘付けになっている。一瞬、彼女の虹彩の色が互いに渦を巻き、絡み合うのを見ていると、言葉が出なくなる。金色、ターコイズ、緑の色彩が互いに争っている。優位を求めて戦っているのだ。希望と恐怖が同じように彼女の視線に宿っている。

ケインがデリラについて何か言っていたことを漠然と思い出す。彼女は目のせいで自分の感情の真実を隠せないということを。奇妙なことに、私は今までそれに気づかなかった。そして正直なところ、ケインがそれを見抜けたことに少し驚いている。なぜなら、人間は私たち獣人が持つ視力の能力の半分...