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第110話

ティンバーに到着したのは日没直後だった。マイケルにまた会えると思うと、思わず顔がにやけてしまう。それだけじゃない——彼に行方不明だったアルファを紹介し直せるんだ。ああ、これは思ってたより面白くなりそうだな。

ベンジャミンは「imber」という文字が入り口の上に傾いて掛かっている崩れかけたレンガの壁を通り過ぎて私たちを先導する。「T」の文字は完全に消えていた。

「少なくとも電気はあるな」と、他の車の後ろを土の道に沿って運転しながらポールがコメントする。「ここはどんな感じなんだ、ゲイブリエル?パックハウスはあるのか?」

「二つある。女性用と男性用だ」とゲイブリエルは退屈そうな声で言う。「...