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第25章 指輪を買う

白川由紀子にとって、感情は薄く、誰と結婚しても大差ない。

佐藤陽斗は彼女に、愛なんてものはくだらないと教えてくれた。物質的なものの方がよっぽどいい。

井上拓海は、白川由紀子が同意することに驚かなかった。彼のような優れた人間が目の前にいるのだから、普通の考えを持つ人ならどう選ぶかは明白だ。

彼は手を離し、白川由紀子の手を取った。

「よし、行こう」

白川由紀子は疑問の表情を浮かべた。「どこへ?」

井上拓海は微笑んだ。「もちろん、婚約指輪を買いに行くんだよ、僕の未来の妻に」

井上拓海が「未来の妻」と言ったとき、白川由紀子の心は一瞬だけときめいた。

二人がただの取引だと思い出し、彼女...