スピード婚の相手は社長である

第15章 問題が発生した

白川由紀子は振り返ることなく、部屋を出て行った。

井上拓海は腹部を押さえながら、痛みに耐えつつ、彼女が去っていくのを見つめ、歯を食いしばった。

「いいだろう、よくもやってくれたな！俺が補償しようと思っていたのに！」

今はただ、この女からできるだけ遠ざかりたい！二度と会いたくない！

アシスタントの佐藤楓が駆けつけたとき、井上拓海は壁に寄りかかりながら足を引きずって歩いていた。佐藤は慌てて彼を支えた。

「井上社長、どうされたんですか？」

井上拓海はようやく息を整え、平然とした表情で答えた。「大丈夫だ、ちょっとぶつかっただけだ」

佐藤楓は疑わしげな目を向けたが、井上拓海に睨まれるとす...