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第7章
絵里視点
パジャマ姿の和也が、松葉杖を突きながら戸口に立っていた。降りしきる雨が、瞬く間に彼の薄い服を濡らしていく。
「正気か!?」雨音に負けじと張り上げられた彼の声は、怒りと、それ以上の焦燥に満ちていた。「こんな嵐の中、外に座り続けるなんて!」
「正気よ」私は震えながら立ち上がった。冷え切った体から、雨水が滝のように滴り落ちる。「ただ、もう二度とあなたを失いたくないだけ」
「絵里……」彼の声から怒気が消え、代わりに痛切な響きが混じる。「風邪を引くぞ。死ぬ気か」
「だったら引けばいいわ」私はよろめきながら、一歩、彼の方へ歩み寄った。「あなたを失って、心が死んだまま生きるよりずっと...