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第6章

その夜、和也がいつものように私のおでこにおやすみのキスをしようと身を乗り出してきたとき、私の中で何かが根本的に変わってしまった。私はもう、さくらの部屋で二人の情事を発見してしまった、あの壊れた女ではなかった。私はもう、寝取られ役じゃない。

今や、私は狩る側なのだ。

「おやすみ、絵里」彼はそう囁くと、さも当然といった顔で私の隣のベッドに潜り込んだ。

「おやすみ」私は穏やかに返したが、その声は鋼のように揺るぎなかった。

しかし、眠れるはずもなかった。彼の呼吸がいつものように深くなると、私の脳はフル回転を始めた。怒りはまだ、胸の奥で熱く燃え盛っている。だがそれは、涙や絶叫よりもはるか...