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第4章
一週間後、書斎の整理をしていると、聞き覚えのある足音が戸口で止まった。
「書斎に置き忘れた書類を取りに……」
入り口には和也が立っていて、明らかに長い間触れられていないファイルを手にしていた。
「それと、昨日の手配のお礼も言いたくて」
ファイルに積もった埃に気づき、私は用心深く一歩後ずさる。
「わざわざいらっしゃる必要はありませんのに。今度からは執事に届けさせますから」
今週に入って、これがもう四度目の訪問だ。いつも、忘れた書類だとか、探したい本があるだとか、あるいは単に「ありがとう」を言うためだとか、そんな見え透いた口実を携えて。
「……直接、お礼が言いたかったんだ」...