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第8章
ついに、待ちに待った全国大会。地区大会でのあのクソ女、沙織の無様な演技の後だというのに、隆はまだ手を回してあいつを出場させた。
どうでもいい。より多くの観客の前で、真実を目の当たりにさせてやればいいだけのこと。
車椅子でアリーナに乗り入れると、波のような歓声が私を襲った。クソみたいに完璧なタイミングだ。
「皆様、逆境を乗り越えたアスリートを代表し、感動のゲスト、水原絵里選手をお迎えください!」
雷鳴のような拍手に、私は笑顔で手を振った。スポットライトが私を追い、VIP席へと向かう私の「勇敢な」姿をカメラが捉える。
沙織は平均台の近くでストレッチをしていたが、私に気づくと、...