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第5章

司と隆のことが気になって、私は探偵を雇って身辺を調査させた。

あの二人……何かがどうにも腑に落ちなかった。

拓海の事務所は、淹れっぱなしのコーヒーの酸っぱい匂いが充満していた。ベネチアンブラインドが、散らかったデスクの上に監獄の格子のような影を落としていた。

「水原さん、いい話じゃありませんよ。だが、真実が知りたいって言ったのはあんただ」

私はひび割れた革張りの椅子に深く腰を下ろし、脚を組んだ。

「聞かせなさい、司が何をしていようと、受け止めてみせるわ」

拓海は録音機材の入った箱をデスクの上で滑らせてきた。その年季の入った顔は険しい。

「これは浮気より根が深い。ずっと...