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第6章
絵里視点
警察のサイレンが、耳障りなほど大きくなってくる。
その音に和也が素早く顔を向け、私の腕を掴む力が万力のように強まった。
「証拠なんざクソくらえだ」和也は唸るように言うと私を解放し、すぐに両肩を掴んで彼のSUVへと突き飛ばした。「ずらかるぞ。今すぐだ」
「待ってください、あれは......」部下の一人が、私たちの録音データが入ったバッグをまだ持ったまま訊きかけた。
「捨てろ!」和也は怒鳴った。「それより、そいつを車に乗せろ!」
二人の男が私の両腕を掴み、黒いSUVの後部ドアへと引きずっていく。私は一歩ごとに抵抗したが、裸足の足がアスファルトに擦れて痛んだ。
「幸太...