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第5章
絵里視点
冷たいリノリウムの床に、裸足の感覚が麻痺していく。私はよろめきながら病室へと戻った。
手の中の壊れたスマホが、ずしりと重い。ひび割れた画面には、まだ録音中の赤いマークが光っていた。
(自業自得よ)
その言葉が頭蓋骨の中で木霊し続ける。背後でドアを乱暴に閉め、鍵をかけた。手がひどく震えて、スマホをまともに握ることさえできない。
ドアに凭れかかって崩れ落ち、再び再生ボタンを押した。
「自業自得だよ。何週間も前に堕ろせって言ったのに……」
一言一言が、胸に突き刺さったナイフを抉るようだった。和也の声が続くのを、涙を流しながらスマホを耳に押し当てて聴いていた。
「...