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アナザー・ウルフ

第八十章――もう一匹の狼

リアーナ視点

私たちは自分のパックの境界にいた。私たちのパックへ配置されようとしていた奴隷が一人、喉を切り裂かれ、四肢を投げ出した無残な姿で発見された。実にむごたらしい。

彼に残された爪痕はライカンのもので、その体は木々に磔にされていた。

あのライカン、よくもワーウルフに手を出したものだ。本当に狂っている。

ダラが岩から飛び降りた。

「ライカンもブラックヒルズの戦士たちの気配もないわね。後者を待ってるわけじゃないんでしょ?」

彼女の不満げな顔に私は微笑んだ。

「助け手が多いのは悪くないけど、クリスが自分の戦士たちをここに立ち寄らせるとは思えないわ」

ダラは満面の笑...