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バンター

第六十七章 – 軽口

クリス視点

予言は間違っていたに違いない。銀狼の番となるべきだったのは、この俺だったのだ。

しくじったことは認めるし、二度とチャンスはないのかもしれない。だから、失敗は失敗のままだろう――だが、俺がアルファキングとして君臨する。かの銀狼は己の運命を全うするだろうが、新たな番が現れることはない、少なくともすぐにはな。それが俺にできる唯一の慈悲だった。

「すべて掌握している、ジーク」俺はウルフに言った。ライカンとの協力について、ぶつぶつと呟き続ける彼に向かって。

「それから、その毒のある言い方はやめてくれ。邪悪な陰謀のせいで母を失ったばかりで、後継者も行方不明なんだ」...