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ボルト

第百七十七章 - 疾走

クリス視点

馬は俺が望むほど速く走ってくれなかった。あるいは、飛んでほしいとでも思っていたのかもしれない。

足がようやく治りかけたばかりで、無理に走らせてブラック・ローズに着く前に使い物にならなくなるリスクは冒せなかったから、馬を使っていた。

森には緊張が張り詰め、またあの不気味な感覚があった。エドウィンと俺はブラック・ローズに近づいていた。

ジェイデンのオーラが今、陰鬱なのも理解できるだろう。レイに関する知らせで彼を煩わせるのは気が進まなかったが、俺一人ではどうにもできなかった。

それに、レイモンドは彼の伴侶の兄なのだ。

「エドウィン、シルバー・パックへ行け!」俺は...