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欠けている

第百十五章 - 欠落

ジェイデン視点

陽光が目を刺し、眠気を追い払った。俺はブラック・ローズにいた。朝の薔薇の香りでそれに気づく。

だが、俺はここにいるはずだったか? 最後の記憶では、シルバー・パックでリィと一緒にいた。俺たちは決闘していた。彼女の何が俺を苛立たせたのか、思い出せなかった。

ベッドから飛び起きた。なぜ何も思い出せない? つまり、俺の狼が主導権を握っていたということだ。

「お前、何をした?」俺は厳しく問い詰めた。「どうなったんだ?」

『決闘に勝てたとは、とても言えんな』と、奴は呟いた。

勝てなかった? それは少々恥ずかしい。あれほどシルバーウルフとの戦いを望んでおき...