8話
サマー視点
ブランドンは私の顔から視線を外さずに答えた。「ええ、教授。しかし今日、テイラー嬢がこれほどお元気そうなのを見ると、もうあの困難な時期は乗り越えられたようですね？」
『あの野郎……』彼が『困難な時期』という言葉に込めた微妙なニュアンスのせいで、私の頬は熱くなった。薬を盛られた事件のことか、それともプラザホテルでの屈辱的な出来事のことか？どちらにせよ、彼の目にあるあの全てお見通しだと言わんばかりの表情は、その馬鹿みたいに整った顔に何か投げつけてやりたい衝動に駆らせた。
「ほう」おじい様の声には、今や好奇の色が混じっていた。「それは興味深いな？」
ブランドン・スタークの強い視線の下で、慎重に築き上げてきた平静さが崩れていくのを感じた。慣れ親しんだおじい様の書斎の居心地の良さが、急に息苦しく感じられた。壁が迫ってくるかのようだ。
「ブランドン」おじい様の声には、お気に入りの教え子に向ける時特有の温かみがこもっていた。「君が古い教授を訪ねてくれるのは、ずいぶん久しぶりじゃないか。それに、孫娘がヨーロッパから戻ってきたところだ。これは祝わねばならん」彼はこちらに顔を向けた。パーカーはまだ戸口の近くに控えている。「パーカー、夕食の準備を頼む。ブランドンとサマーも一緒に食べるから」
「かしこまりました、教授」パーカーの表情は完璧なまでにプロフェッショナルだったが、口の端がわずかに引きつるのを見逃さなかった。『最高ね。パーカーまで、これが何なのか知らないけど、一枚噛んでるんだわ』
「教授、そんなにご迷惑をおかけするわけには――」私が言いかけたが、おじい様はおそらく数えきれないほどの学術的な議論を退けてきたのと同じ仕草で、私の抗議を一蹴した。
「何を言っとるか！ブランドン、君は残らなければならん。サマーはフォーチュン・コープのヨーロッパ部門を管理して、戻ってきたばかりなんだ。まだ時差ボケに慣れていないんだろう、なあ、可愛いサマー？」
ブランドンの黒い瞳が私の顔に向けられ、私はその詮索するような視線の下で、そわそわしたい衝動と戦った。「テイラー嬢は、私がここにいることにかなり驚かれているようですね」
「正直に申し上げますと、スタークさん」声からとげとげしさを抑えきれなかった。「あなたが祖父の教え子だと知ったのは……予想外でした」
彼の口の片端が、あの腹立たしい半笑いを浮かべて持ち上がった。「我々がこのことについて、あなたを欺く理由があるとでも？」
「ブランドン」私が返事をする前に、おじい様が割って入った。その声には誇らしさがにじんでいた。「私がよく話していた孫娘だよ。君の後を追ってコロンビア大学に行ったんだ、知っての通りな。優等で卒業し、今ではもうフォーチュン・コープのエグゼクティブ・ディレクターだ」
革張りのアームチェアに沈み込んで消えてしまいたかった。『おじい様、本気で私のことをブランドン・スタークに自慢してるの？』ほんの数日前に、私の最低最悪な姿を見た、あのブランドン・スタークに？
「ヨーロッパ部門での彼女の働きは特に目覚ましいものでな」おじい様は、私の不快感に気づいていないのか、あるいは意図的に無視しているのか、続けた。「四半期報告書によれば、彼女の管理下で著しい改善が見られる」
ブランドンの表情は読み取れなかったが、彼の目の中の何かが私の肌をちくりと刺した。「なるほど。実に……素晴らしい」
「さて」おじい様は突然椅子から立ち上がった。「若い者同士で話すといい。私は書斎で重要な書類を整理する必要がある」
『え？』私ははっと顔を上げた。「おじい様――」
「サマー、ブランドンをしっかりもてなしてあげなさい。彼は私の最も優秀な教え子なんだからな」その捨て台詞を残して、おじい様は書斎のドアの向こうに消え、私は二人きりになりたくない最後の人物と、取り残されたのだった。
私たちの間に、言葉にならない重い沈黙が垂れ込めていた。ブランドン・スタークの視線が、まるで物理的な接触のように肌で感じられる。『そわそわしないで。弱みを見せないで』私は慎重に、感情を抑えた声で尋ねた。「それで、スターク氏。祖父の教え子だったというのは、何年のことですか？」『それにしても、ブランドン・スタークが祖父の生徒だったなんて、どうして今まで一度も聞いたことがなかったんだろう？』
彼は一瞬、私を観察するように見つめた。口元には、あの微かな面白がるような表情が浮かんでいる。「君が入学する前に卒業したよ。コロンビア大学に入ったのは十五の時だ」
『十五歳？』驚きを隠そうとしたが、見事に失敗した。「神童だったんですか？」『もちろんそうでしょうね。ウォール街で最も権力のある男っていうだけじゃ、まだ足りないみたいだから』
「教授は、そのことも話していなかったのか？」彼の声には、純粋な好奇の色が混じっていた。「興味深いな。あれほど頻繁に君の話をするというのに」
その言い方に、祖父がいったい何を話していたのだろうかと疑問が湧いた。その考えを追求する間もなく、ブランドンは椅子から立ち上がった。彼にはごく自然に備わっているように見える、流れるような優雅さで。彼がアンティークのチェスターフィールドソファの、私の隣――必要以上にずっと近い距離に――腰を下ろしたとき、私の脈拍は速まった。
『ああ、もう、この人は』驚いた鹿のようにソファから飛び出したい衝動と戦った。「スターク氏、もう少し距離を置いていただけますか？」
彼の黒い瞳が、あの落ち着かないほどの強さで私を捉えた。『どうして彼は、そんな風に私を見るの？まるで頭の中の考えを全部読み取ろうとしているみたいに』その視線の重みに、肌が粟立つのがわかった。
「トンプソン教授は明らかに君を高く評価している。彼が望んでいるように、私たちももっとお互いを知るべきかもしれない」
『ええ、そうでしょうとも。スターク・グループのCEOが、たまたま昔の恩師の孫娘と「知り合いに」なりたいだなんて。しかもその孫娘は、今まさに、あらゆる悪い意味でウォール街の噂の的になっているっていうのに』ヒステリックな笑いをこらえる。この状況全体が、まるで奇妙な夢――あるいは悪夢――のように感じられた。
「スターク氏」私たちは近距離にいたが、私はあくまで仕事上の冷静さを保った声を出した。胃の腑が神経質に震えているのを声に出さなかった自分を誇らしく思う。「あなたが祖父のかつての教え子であることには感謝しますが、だからといって私たちが……知り合いになる必要はありません」『それに、今の私の人生をこれ以上複雑にしてくれるウォール街の大物は、絶対に必要ない』
彼の口元にかすかな笑みが浮かんだ。「君は私の意図について、憶測で判断しているようだね、テイラーさん」
「そしてあなたは、私がいかなる種類の知り合いにも興味があると憶測で判断しています」私は反論し、彼の存在が部屋全体を満たしているように感じる中で、平静を保とうと努めた。『どうしてこんなに近くに座る必要があるの？ソファは大きいのに――文字通り、すぐ間近にいる理由なんてないのに』落ち着きを必死で装おうとしているのを裏切るように、私の指は膝の上で神経質にもつれた。『集中するのよ、サマー。あの夜のことは考えない。彼の服を着て目覚めたことや、彼が私を運んでくれたこと、あるいは……』その考えを唐突に断ち切った。『だめ。そっちには行かない』
彼はさらに私に近づいた。
『なんなの、いったい？』私は彼の胸に両手を押し当て、突き放そうとした。