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62話

ブランドン視点

俺たちはフィニッシュラインを越えた。隣にいるジューンの存在は、温かな気晴らしだった。彼女が先ほどくれたキスは、まだ俺の唇に残っている。彼女の大胆さを思い出すと、胸の内で所有欲のようなものがうずいた。あのキスは彼女から仕掛けてきたのだ――いつもは慎重な俺の妻が、最初の一歩を踏み出した。その考えに、わずかに笑みが浮かんだ。

車から降りると、赤毛のリーダーが近づいてきた。その立ち居振る舞いには敬意が表れていた。彼はタバコを取り出し、にやりと笑いながら差し出した。「いい走りだったな! あんた、どこであんな技を覚えたんだ?」

俺は慣れた手つきでタバコを受け取り、火もつけずに...