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54話

サマー視点

レストランのテーブル越しに、ブランドンが私の指に自分の指を絡ませてきた。予期せぬ親密さに、息が詰まる。

思わず俯くと、目の前の優雅なテーブルクロスが急に魅力的に見えてきた。心臓は、レストランの穏やかな雰囲気の中でも彼に聞こえてしまうんじゃないかと思うほど、速く高鳴っていた。

何を言えばいい? どうすればいいの? 彼の強い視線に射抜かれて、頭の中は完全に真っ白になった。

恥ずかしさで破裂しそうになった、まさにその時、ウェイターが最初の一皿を持って現れた。

「前菜でございます」ウェイターのプロフェッショナルな声が、張り詰めた瞬間を破った。人生でこれほど邪魔が入ってありがた...