5話
サマー視点
「正気なの？」
私はシルクのシーツを体にきつく巻き付けた。その下は完全に裸なのだと痛いほど意識しながら。ヘッドボードに背を押し付け、心臓を激しく高鳴らせながら、彼が例の、いかにも彼らしい捕食者のような優雅さで動くのを見つめた。その仕草ひとつ、視線ひとつが、この男が危険な存在なのだと思い知らせる――昨夜バーにいた連中のような粗野な意味ではなく、私の脈を飛ばせるような、そんな危うさだ。「結婚？ 私たち、お互いのことなんて何も知らないじゃない！」
彼の黒い瞳が私の動きを追い、口の端が例の、傲慢さと魅力が同居したような、腹立たしい半笑いを形作る。あの瞳――必死にしがみついているシーツも含め、私が築こうとするどんな防御も見透かしているかのようだ。「そうかな？」彼の足音が微かに響き、私の鼓動を速める。「君は昨夜、私の腕の中に倒れ込んできたんだぞ、サマー。そして、君の感触は…悪くなかった」
彼が私の顎に指を伸ばそうとしたので、びくっとして身を引き、シーツをさらに引き上げた。「スタークさん――」
「ブランドンだ」
「どっちでもいいわ」私はシーツをさらにきつく体に巻き付け、どうにかして私たちの間に壁を作ろうとした。「分からないの？ あなたとなんて結婚しない。あなたのこと知らないし、それに、愛してなんかないわ」
彼の目に危険な光が宿った。「では誰を愛している？ アレクサンダーか？」その声には剃刀のような鋭さがこもっていた。「まあ、彼はもうすぐ君の義理の兄になるわけだが」
その何気ない残酷さが、平手打ちのように私を打った。「それがあなたと何の関係があるっていうの？」声が情けなく裏返った。「どうしてそんなに私との結婚にこだわるの？ 他の誰かじゃだめなの？」
「君は、私が不快に思わない初めての女性だ」
私は彼を見つめ、一瞬言葉を失った。『それ、褒め言葉のつもり？』
「わあ。ほんとに？ それが口説き文句？ スタークさん、プロポーズの腕を磨いた方がいいんじゃないかしら」
彼は革張りのソファへ移動し、休息中の捕食者のような気楽な優雅さで腰を下ろした。ただそこに座っているだけで、彼は絶対的な支配者のオーラを発しており、自分がどれほど場違いか――特に今の服を着ていない状態では――を痛感させられた。「簡単なことだ。取引をしよう」
『取引？ ブランドン・スタークと？』彼のビジネス取引に関する囁かれる噂――彼と取引して得をした者は誰もいないという話――が頭をよぎった。
「取引？」私は膝を胸に引き寄せ、シーツをしっかりと体に巻き付けたまま言った。「これは合併や買収じゃないんですよ、スタークさん。結婚の話をしているんです」
「妻が必要なんだ」彼は天気の話題でもするかのように言った。「そして君はその役にぴったりだ」
私は笑ってしまった。「スタークさん、少しどうかしてるんじゃない？」
「ミス・テイラー」彼の声はわずかに和らいだが、瞳の強さは変わらない。「時間はやる。私は気の長い男だ」
私が返事をする間もなく、ドアが控えめにノックされた。私はびくっとし、反射的にシーツをさらに引き上げる。昨夜も見かけた、あの無駄のない優雅さでジェームズが入ってきて、ブランド物のショッピングバッグらしきものを運んでいた。
ブランドンはほとんど身動きせず、ただわずかに顎を上げただけだった。「君の服だ、ミス・テイラー」
私はためらい、疑いの目でそのバッグに目をやった。昨夜の出来事はまだ曖昧だったが、自分が今、服を着ていない状態にあることは痛いほど意識していた。『まさか、アシスタントに私の服を一式買わせたっていうの？』
ジェームズは軽く会釈してバッグを置いた。「バスルームはそちらのドアの向こうにございます、ミス・テイラー」
私はバッグとバスルームのドアの間で不安げに視線をさまよわせ、自分の窮状を痛感していた。バスルームに行くには、シーツ一枚で部屋を横切らなければならないのだ。
「あの、お二人とも、お願いだから……」
言いかけた私の声は、ブランドンがそこを動こうとする気配を微塵も見せないのを見て、尻すぼみになった。彼の黒い瞳は、あの不安になるほど強烈な光を宿して私を捉え、プライバシーを与えるつもりなど毛頭ないことをはっきりと示していた。
「ジェームズ、君は下がっていい」ブランドンは、視線を私から決して逸らさずに言った。
「あなたもよ」私はシーツを体にきつく巻き付けながら、きっぱりと言った。
ブランドンの唇が、あの腹立たしい半笑いの形に歪む。「ここは私のスイートですよ、ミス・テイラー」
顔がカッと熱くなった。「だったら、せめて後ろを向いて！」
完璧な形の眉が片方わずかに上がったが、一瞬の間をおいて、彼は窓の方を向いた。私はベッドから慎重に滑り出し、シーツを体に巻き付けたが、それがまったく頼りないことはわかっていた。バスルームへ向かう一歩一歩が、まるで綱渡りをしているような気分で、シルクのシーツは動くたびに滑り落ちそうだった。
ちょうどバッグに手を伸ばした瞬間、シーツが足に引っかかった。必死に掴もうとしたが、間に合わなかった――布地はずるりと滑り落ち、掴み直す前に、むき出しの背中と脇腹が露わになった。
背後でブランドンが身じろぎする気配がして、私は凍りついた。彼は振り返ったのだろうか？ 見られた？ 心臓が肋骨を激しく打ちつけ、私はシーツを元の位置に掴み直し、バッグをひっつかむと、振り返らずにバスルームへ駆け込んだ。
バッグの中からシャネルの服を選んだ。肌が粟立つような思いがしたのは、その見るからに高価なことではなかった――すべてが完璧にフィットしたことだ。『どうして私の正確なサイズを知ってるの？』
広大な大理石のバスルームで一人になり、ようやく私は仮面を外すことができた。鏡に映る自分の顔は見慣れないものに見えた――青白く、目の下にはデザイナーブランドのコンシーラーでも隠しきれない隈ができていた。『一年』。たった一年、ここを離れてフォーチュン・コープのヨーロッパ部門を管理していただけ。一年間、夜遅くにアレクサンダーと電話し、彼がいなくてたまらなく寂しくて……。指の関節が白くなるまで大理石のカウンターを握りしめた。『しっかりして、サマー。また彼らのことで泣かないで』
バスルームから出たとき、最善を尽くしたにもかかわらず、自分の目が赤く縁取られているのがわかった。ブランドンは窓際に立っており、その長身がマンハッタンのスカイラインを背景にシルエットになっていた。私が近づくと彼は振り返り、その顔には何か読み取れない表情がちらついた。
彼は名刺を差し出した。私の指の間で、クリーム色の厚手で高価なカードストックが感じられた。エンボス加工された文字を読んで、息を呑んだ。『ブランドン・スターク、CEO、スターク・グループ』
「差し伸べられた助けを拒絶するな」彼の声は静かだったが、以前にも気づいたのと同じ鋼のような底流が感じられた。
「助け？」思わず笑ってしまった。「私に何を望んでいるのか、はっきり言ったらどうなの？」
彼の指先が私の額に触れ、はらりと落ちた髪を耳にかける。その仕草は優しく、ほとんど慈しむようでありながら、どこか所有権を主張されているような感覚もあって、思わず背筋に震えが走った。身を引こうとする本能と、彼のタッチに身を委ねたいという裏切りにも似た衝動との間で、私は息を止めていることに気づいた。「良い知らせを待っているよ」
私は凍りついたまま、彼の去っていく背中を見つめていた。ドアが静かなクリック音を立てて閉まり、私は自分の思考と、まるで手のひらを焼くかのように感じられる名刺と共に、一人残された。
『ブランドン・スターク』。ウォール街の四天王の一人。ほとんどの人間がまだ自分のキャリアを模索しているような年齢で、スターク・グループの支配権を握った金融界の神童。
そして、彼は私と結婚したがっている？ 『なぜ？』 彼のような人物が、評判は地に落ち、実の家族にさえ背かれたような人間に、いったい何を望むというのだろう？
私は部屋を出る前に、その名刺をバッグに滑り込ませた。指がかすかに震えているのを無視しようとしながら。ブランドン・スタークがどんなゲームを仕掛けているにせよ、私は関わりたくなかった。『それなのに、なぜ彼の名刺を捨てられないの？』