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第638話入っても出られない

ウィノナは手を伸ばし、近づきすぎる彼を制すると、無理に笑顔を作った。「メーヴと私が何を話したか、知りたくない?」

ザカリーは興味がなかった。

二人が肌を重ねてからしばらく経っていた。その朝、ウィノナは緩く結んだだけのローブ姿で、それがザカリーを午前中ずっと上の空にさせていた。襟元からちらりと覗く蠱惑的な肌を思い浮かべるばかりで、普段なら一時間でこなせるはずの仕事さえも進まなかったのだ。

すでに週末だというのに、彼は早く仕事を終えて家に帰りたかった。しかし、午前中が過ぎても、タスクの半分も終わっていない。ディランは何度もいらだたしげな視線を送ってきた。明らかに不満そうだったが、何も言えずに...