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第600話本当はやりたくない

ザカリーはその日一日ウィノナに会っておらず、ただ彼女を抱きしめ、キスをし、服の買い物も含めて他の何もかもを忘れてしまいたいと、そればかりを願っていた。

だがウィノナは、スケッチブックを彼の顔に突きつけ、「これを見なければ、あなたをズタズタにしてやるわ」とでも言いたげな表情をしていた。

ザカリーは視線を落とし、デザインにざっと目を通した。彼にとって紳士服などどれも似たようなものに見えたが、妻がデザインしたのだから最高に決まっている。彼は頷いた。「素晴らしいじゃないか。すぐに誰かに作らせるよ」

彼はウィノナを抱きしめようと手を伸ばした。「これからは、俺の服を全部デザインしてくれないか? 俺の妻はす...