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489話

床に錠剤が散らばり、ティモシーの手は空中で固まったままだった。

その目はザカリーの一挙手一投足を追い、影が揺らめき、本当の感情を隠していた。「なんで薬、やめたんだ? もしかして……」

(ザカリーは何か気づいたのだろうか?)

ティモシーは躊躇い、直接は尋ねなかった。「薬がまずいと思う?」

ザカリーは電話中だったが、ティモシーの問いかけに顔を向けた。冷たく厳しい視線が、ティモシーの顔から足元へと移る。「俺の病気は、少し薬を飲まなかったくらいで死ぬもんじゃない。だがお前は……目が見えないのか、それとも単に間抜けなのか? 床に割れたガラスが見えないのか? たとえ見えなくても、痛みは感じないのか...