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359話

ザッカリーは身を乗り出し、彼女に顔を近づけた。

ウィノナは彼の温かい息が顔にかかるのを感じ、思わずまぶたを閉じた。

彼の唇が彼女の額をかすめ、そして……

何も起こらなかった。

ザッカリーは立ち上がり、彼女に毛布をかけ直した。「少し眠るといい」

ウィノナは黙っていた。

体はまだ欲求でざわついていたが、火照った思考は急速にしぼんでいった。がっかりした様子は見せられない。あまりがっついているように思われたくなかった。

彼女は毛布を蹴飛ばしてベッドから出た。それを口実にする。「まだ寝ちゃだめよ。あなた、埃まみれじゃない。そんな格好で横になんてなれないわ」

彼の返事を待たずに、彼女はバス...