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第6章

中島由美子は電話を取ると、途端に媚びるような声色に変わった。「もしもし、佐藤部長ですか……え?明日の取締役会?これは……はい、はい、必ず時間通りに参加いたします」北野紗良は階段の角に立ち、冷ややかな目でこの光景を見つめていた。

前世の彼女は継母と継弟に唯々諾々と従い、自分の持参金や父親から譲り受けた財産さえも進んで譲り渡していた。

その結果、北野家は彼らによってほとんど食い潰され、北野グループも破産の瀬戸際に追い込まれた。

今度こそ、歴史を繰り返させるわけにはいかない。

翌朝、長谷川家の別荘にて。

「こちらは北野さんのお部屋から整理いたしましたお品でございます。長谷川社長のご確認を...