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第48章

電話の向こうから若い男の軽薄な声が聞こえてきた。「よくやった。安心しろ。お前の取り分はちゃんと用意してある。しっかり見張っておけよ、失敗するなよ」

「はいよ、ご安心を!」運転手は電話を切ると、貪欲さと恐れが混ざった表情を浮かべた。

彼はバックミラー越しに、動きのない北野紗良を一瞥し、小声で唾を吐いた。「お嬢様、恨むなら、あんたが誰かの邪魔をしたことを恨みな……奥さんがくれた額があまりにも良かったんでね」

奥さん……

中島由美子か?

北野紗良の心が急に沈んだ。

彼女はそんなに焦っていて、こんな卑劣な手段まで使うとは?

進路から判断すると、向かっているホテルは「プライバシー」で有名...