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第39章

「伊藤美結、こっちに来て」軽薄な声が響いた。

名前を呼ばれた伊藤美結は体が硬直し、顔から血の気が引いた。

彼女を呼んだのは青木家の次男で、この界隈では有名な遊び人、青木さんだった。今、彼の周りには同じように騒ぎを楽しみたがる金持ちの若者たちが集まっていた。

「青木さん、何かご用でしょうか?」伊藤美結は恐る恐る近づいた。

青木さんは彼女を横目で見て、意地の悪い笑みを浮かべた。「大したことじゃないよ。ただ北野お嬢様にも来てもらって盛り上がりたいなと思ってね。電話してよ。伝言は......そうだな、長谷川さんと美咲ちゃんが、今にもキスしそうだって」

周囲からどっと笑い声と口笛が上がった。...