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第3章

「でも残念ながら、今日は婚約式が行われません」

彼女の衝撃的な言葉に、会場は騒然となった。「長谷川社長は先ほど市川さんのために会場を後にしたからです」

招待客たちは顔を見合わせ、小声でざわめき始めた。

「私は長谷川社長の選択を尊重します。彼の心に決めた人がいるのなら、私が強いるべきではありません。今日から、私と長谷川冬馬との婚約は解消され、お互い別々の道を歩み、もう関わることはありません」

言い終えると、北野紗良は微笑みを浮かべ、優雅にステージを降りた。

会場は完全に騒然となり、議論の声が波のように押し寄せた。

中島由美子は少し離れた場所に立ち、顔色を失い、その場に凍りついていた...